研究分野 TrustedWeb

デジタルデバイスやコンテンツの急激な増加に伴い、個人や企業に紐づくデータが急増しています。しかし、偽情報や誤情報の流通や法規制によるデータ取得制限などにより、個人や企業にとって信頼度の高い情報を連携・収集することは困難です。この課題に対し、Trusted Webでは「相互運用性」と「データの信頼性」を軸に、個人や企業が各保有データの管理や利用許可などを行えるアイデンティティ管理基盤の構築を目指しています。
当社では、デジタル空間におけるアイデンティティ管理基盤としてAVATECT®を開発しています。リアル・デジタルの垣根を越えて個人が自身のデータを管理・証明することで安心・安全なデジタル社会を実現していきます。
活用イメージ
W3C※1が提唱しているVCs※2をはじめとする標準技術を活用し、大学の卒業証書や研修修了証など各種証明情報をオンライン上で検証可能とすることで、大学窓口や採用企業への身分証明書の提示・送付などがオンライン上で可能となります。これにより、学生や利用者側の手続きを簡便化するだけでなく、学生割引などの本人確認が厳格かつ効率化され、転校や転入などに伴う個人情報の連携など、企業や自治体なども業務効率化が見込めます。
※1:W3C:World Wide Web Consortium
※2:VCs :Verifiable Credentials(ヴェリファイアブル クレデンシャルズ)

ブラウザにサイト運営者や広告主など発信者の企業情報を第三者による承認を受けた上で付与し、認証アイコンとして表示することで、発信者の信頼性と実在性を誰もが確認できるようになります。さらに、情報発信者や流通経路、広告主が透明化されるとともに、以下の恩恵が得られます。
1. なりすましや改ざんが判別でき、Webコンテンツの信頼性が向上する。
2. フェイクニュースなどの詐欺広告収益が困難となり、広告の媒体価値が向上する。
3. 広告枠が設置されるWebコンテンツの発信者が明確になり、広告主が安心して利用できる。

研究紹介
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C2PAで誰もがデジタルコンテンツの信ぴょう性を確認可能に
C2PAは、コンテンツの作成者・編集者・編集日時などの来歴情報を暗号技術で保護しながら埋め込み、誰でもその信ぴょう性を検証できる仕組みを提供します。TOPPANデジタルでは、こうしたC2PA技術を活用し、情報の真正性を保証することで、デジタル社会における安心・安全な情報流通の実現に向けた取り組みを進めています。
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デジタルアイデンティティウォレットについて
デジタルアイデンティティウォレット(DIW)は、さまざまなサービスで高い信頼性を持つ身元確認を可能にし、身元確認に使用されたデジタル証明書がどの範囲で提示されたかをユーザーが適切に把握できるようにします。記事ではDIWの仕組み、関連する技術から、期待される効果やTOPPANの取り組みを紹介します。
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企業や個人の秘密を守るゼロ知識証明
一般的に何かを証明するときには秘密情報(パスワードなど)を提示する必要がありますが、ゼロ知識証明は秘密情報自体を提示しないで本物であることを証明する方式です。例えば住所(個人情報)を店員に知られることなく、20歳以上であることを証明するなどの恩恵をもたらします。TOPPANではDID/VCsにゼロ知識証明を組み込むための研究開発を行っております。
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デジタル社会での信頼性を向上させるVerifiable Credentials
Verifiable Credentials(VCs)は、証明書をデジタル化したもので「検証可能な資格情報」とも呼ばれます。VCsが実用化されれば、検証者から発行者への問い合わせなどが不要になり、事務的な業務の簡易化が期待されます。TOPPANはデジタル空間でのアバター認証技術「AVATECT」やVC発行基盤の開発を進め、信頼性が高いデジタル社会の実現を目指しています。
主要論文・受賞歴
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2023/11/28 特許
US-11831637-B2 「Avatar management system, avatar management method, program, and computer-readable recording medium」を取得
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2023/05/04 特許
特許第7485235号 「アバター管理システム、アバター管理方法、プログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体」を取得